備長炭を使うとなぜ料理が美味しくなるの?
焼肉や焼き鳥などの炭火焼で用いられる備長炭には、ガス火で調理した時よりも美味しさを倍増させるパワーがあります。
だからこそ焼肉屋さんや焼き鳥屋さんでは炭火焼が評判なのですね。
しかし、なぜ備長炭で調理をするとそんなにも美味しくなるのか?が気になるところではないでしょうか。
ここでは備長炭で料理をすると美味しくなる理由について解説していきます!
目次
備長炭ってどんな炭?
備長炭とは、料理に用いられることが多い木炭の一種です。
その昔、現在の和歌山県田辺市にある商人だった備中屋長左衛門という人がウバメガシを材料にして使いやすく加工した炭を販売し始めたことから「備長炭」という名前がついたと言われています。
そもそも炭には木炭と竹炭の2種類があって、備長炭は木炭の仲間です。
木炭と竹炭の違いは形状にもありますが、その他にも次のような特徴の違いがあります。
<木炭>
・着火しやすい
・料理やバーベキューに使われることが多い
・肉厚で着火してから比較的長く燃え続ける
<竹炭>
・珪酸やカリウムが豊富で硬いので着火しにくい
・炭化しやすいので燃焼時間が短い
・水素やアンモニアなどの吸着力により、脱臭用や調湿用、水質浄化の炭として優れている
このように木炭と竹炭は性質が全く逆です。そして木炭はさらに二つの種類に分かれます。
木炭には黒炭と白炭の2種類がある!
備長炭は木炭の一種と言いましたが、木炭はさらに「黒炭」と「白炭」の2つに細分化されます。
この2種類の炭は同じ木炭でありながら性質がかなり違っています。
<白炭の特徴>
・焼肉などの飲食店でよく使われる備長炭のこと
・すぐに着火しにくい
・固定炭素が80%以上
・火が点いた後は燃えやすく、燃焼時間が長い
<黒炭の特徴>
・バーベキューなど一般でも使われる炭のこと
・すぐに着火するから使いやすい
・固定炭素は65%前後で煙が多い
・火が点いたらすぐに燃えてしまうので燃焼時間は比較的短い
備長炭は木炭の中の白炭に属し、黒炭・白炭はそれぞれ異なった性質を持っているんですね。
なぜ備長炭を使うと料理が美味しくなるの?
私たちの生活の中で一般的に調理でよく使われているのはガスの火ですよね。
備長炭がどんな人に選ばれて使われているのかというと、煮物や焼き物などをより美味しく調理したい場合に選ばれています。つまり、料理人さんに選ばれて使われているというわけです。
なぜプロに選ばれるのかというと、それはやはりガス火と備長炭では料理の仕上がりの美味しさが大きく違うから。
その違いを作り出しているのは何なのでしょうか?
ガスと備長炭の決定的な違いとは?
【遠赤外線効果】
備長炭には遠赤外線効果があり、それによって食材に均一に火を通すことができる性質があります。
中までしっかりと火が通ってふっくら柔らかくなり、外はカリッと仕上がって香ばしさが増すのが特徴です。
焼き鳥屋さんやうなぎ屋さんではふっくらカリっ!という焼き上がりがとても好ましいので、多くのお店で選ばれていると思います。
【近赤外線効果】
備長炭には近赤外線効果という効果もあります。
備長炭は白い灰に覆われていますが、そこから近赤外線が放出されるという仕組みになっています。
例えば焼肉の場合は近赤外線効果によって肉の表面に熱が吸収されるので、肉の組織が壊されることなく美味しいお肉をいただくことができます。
近赤外線には旨味成分を中に閉じ込めるという効果もあるので、肉や魚の旨みをしっかり味わえるのは近赤外線のおかげです。
このように備長炭の遠赤外線効果と近赤外線効果によって、同じ食材を焼いたとしてもガスの火と備長炭では仕上がりの美味しさが全然違います。
そもそもガスは炭素と水素と酸素でできているので、焼く時に水分が発生します。それが原因で料理がべちゃべちゃになってしまうということもガスと備長炭の違いの1つです。
備長炭とガス火の美味しさの違いはどこにある?
備長炭には遠赤外線効果と近赤外線効果があるからガス火で調理した時と比べて美味しさが全然違うのですが、具体的にどんなところが違うのでしょうか。
料理のうまみが劇的に違う!
備長炭とガスの火での調理のおいしさの決定的な違いは、ズバリ『うまみ』です。
うまみのもとになっているのはアミノ酸の一種であるグルタミン酸というものなのですが、備長炭で食材を焼くとグルタミン酸が2.2倍になるというデータもあります。
アミノ酸は20種類あって私たちの体にとって重要な栄養素です。そもそも肉や魚、こんぶや野菜などに多く含まれているので、それを備長炭で調理するとより一層グルタミン酸が増えてうまみも増すわけですね!
同じ加熱する・焼くという調理であっても、炭火で焼くと遠赤外線と近赤外線の効果、そして均一に火が通るという利点によってより一層美味しく食べることができます。
炭火独特の香ばしさで美味しさ激増!
炭火焼と言われる料理には独特の香ばしさや風味がありますよね。
それは備長炭の煙によって発生する香ばしさのおかげで、備長炭を使った料理だからこそ楽しめる好ポイントです。
備長炭で肉を焼くと熱の通り方によって余計な脂が落ちるので、その脂が備長炭に付着します。それによって備長炭から煙が発生するのですが、香りの良い煙が肉に付着するために独特の香ばしさが発生するんです。
これを煙でいぶすと表現することもあります。
スモークポークやスモークチーズなど、木のチップを使って燻した料理もありますよね。そうすることで旨味が増すと言われているので、炭火焼きの焼肉は香ばしくて美味しいと感じるわけです。
また、「燻煙」と表現されることもあります。
備長炭を家庭料理にも使ってみよう!
お店での焼肉や焼き鳥だけではなく、家庭料理の中にも備長炭をうまく取り入れることで食生活が豊かになります。
家庭料理の中で備長炭をうまく取り入れる方法をいくつかご紹介したいと思います。
炊飯器に入れてご飯を炊くと美味しい!
ご飯を炊く時に炊飯器の中に備長炭を入れておくと、お米の中の芯の方まで火が通ってふっくらと炊き上がります。
手順は次の通りです。
1、10cm程度の長さの備長炭をよく洗い、煮沸消毒して陰干しで乾燥させる。
2、いつも通りにお米をといで分量通りの水を入れ、煮沸処理して乾燥させた備長炭も一緒に入れる。
3、炊飯器のスイッチを入れてご飯を炊く。
煮沸・乾燥した備長炭を用意しておけば、炊飯器に入れるだけ!
とても簡単にふっくらしたご飯が炊き上がります。
ご飯が炊けた後も炊飯器の中に備長炭を入れたままにしておくのがオススメです。保温の時の独特の匂いを防ぐことができます。
お米を炊く時に使った備長炭は再利用できるので、水洗いをしてから天日干ししておけば次もまた同じように使うことができます。
グリルの下に備長炭を入れて魚を焼くとGOOD!
魚を焼く時にグリルの下に備長炭を入れるだけで魚の旨味が増して美味しく焼くことができます。
中はふっくらとして表面はパリッと焼き上がるので、食感も風味も上がってとても美味しくなるんです。
魚グリルで備長炭を使う方法はとても簡単です。
グリルの受け皿にアルミホイルを敷き、アルミホイルの上に砕いた状態の備長炭をのせます。そのままいつも通りの方法で魚を焼けばOKです!
ぜひ試してみてください。
煮物を作る時に備長炭を入れて煮崩れ防止!
煮物を作る時に鍋の中に備長炭を入れるだけで、煮崩れしないで味がしっかり染み込んだおいしい煮物に仕上がります。
煮物を作る時に鍋に備長炭100g程度を入れていつも通りに調理するだけで美味しい煮物が出来上がります。
煮物が出来上がったら備長炭は取り出しておくのがオススメです。
きちんと洗って煮沸・乾燥させた備長炭を使うように気をつけてください!
揚げ物の油に備長炭を入れるとカリッと仕上がる!
あまり知られていないかもしれませんが、揚げ物をするときに揚げ油に備長炭を取り入れると揚げ物が美味しく仕上がります。
油の温度を細かく調節しなくても天ぷらの表面がカラッとして、美味しくいただけるんです。
備長炭を使って揚げ物をする手順もとても簡単で、煮沸消毒した備長炭を揚げ油の中に入れて使います。いつも通りに揚げ物をするだけでいいのですが、油に入れて使うのは非常に注意が必要です!
まず最初の備長炭を洗う・煮沸する・乾燥させるという最初の工程で、とにかく水分を残さないことが大事です。
油と水の相性が悪いのは基本中の基本ですが、水分が残ったままの備長炭を入れて油の温度を上げると油が激しく飛び散ったりする可能性があるので是非気をつけてください!
ちなみに揚げ物に使った備長炭は油が付いているので再利用はできません。使用後は捨ててくださいね。
遠赤外線と近赤外線が料理を美味しくする!
備長炭を料理に使うとなぜ美味しくなるのかについてご紹介してきましたが、いかかでしたか?
ガスなどの火を使うのと備長炭で炭焼きにする時の明確な差は遠赤外線効果と近赤外線効果があるかないかという部分です。
また強い火力で満遍なく火を通すことができるので、肉や魚に均一に熱が伝わって中はふっくら外はカリッとした焼き上がりになります。
また、そういった備長炭特有の熱の通り方によって肉や魚野菜に含まれているグルタミン酸が倍増するという性質があるので旨味が増して料理がさらに美味しくなるんです。
備長炭から発生する煙によって肉や魚が燻されることで独特の香ばしさが増して、旨味と一緒に風味を楽しむことができます。
プロの料理人さんや飲食店さんに加えてご家庭でも備長炭を取り入れるといつもの料理が格段に美味しくなるので、ぜひ一度備長炭を試してみてください。
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